2011年2月2日水曜日

就職人気企業ランキング(2)――2011年卒業生が“就活後半”に選んだ就職したい会社。男女別文理別ランキング



男女別・文理別ランキングの特徴も見ておこう。

 男子の人気企業を見ると、「大手志向」「安定性重視」といった企業選びの基準を感じる。一方、女子の選択基準は「身近さ」「あこがれ」「嗜好品」といった言葉で表すことができそうだ。理系ランキングに自動車メーカーが一社も入っていないことが気になる。トヨタ自動車は理系29位(総合148位)。本田技研工業(ホンダ)は理系37位(総合174位)。総合では前半ランキングに比べ、両社とも100位近く下げた。採用人数も減少傾向で、新卒採用市場でのブランド力は年々低下している。なお日産自動車は、理系の学校推薦枠のみの採用で、それ以外の採用計画は未定のままだ。

後半ランキングの特徴を三つにまとめてみた。

 一つは、金融全般への根強い人気。前半は金融の中でもメガバンクの人気が目立ったが、後半もみずほフィナンシャルグループ(13位)を含め、3行とも上位にランクインした。しかし後半ランキングではメガバンクだけでなく、野村証券や大和証券グループ(12位)、損保トップの東京海上日動火災保険(14位)、生保の日本生命保険(16位)、信託銀行の三菱UFJ信託銀行(18位)など、幅広い金融企業が20位以内にランクインしている。

 二つ目は、バリエーション豊かな業界・企業が並んだことだろう。もともと後半ランキングは、企業研究が進むため、業界は分散する傾向があるが、今年はそれが顕著だった。上位20位で見ると、常連企業を抑えて、食品の明治製菓がトップ。玩具では、常連のバンダイ(11位)以外にタカラトミーが上位に顔を出した。鉄道ではJRから2社が、そして花王(15位)や富士フイルム(19位)といった化学・医薬・化粧品メーカーも名を連ねた。学生は厳しい就職環境から、例年以上に視野を広げて企業選びをする必要があったのだろう。

 最後の特徴は、食品の人気の高さ。食品業界の上位20社で、前半から順位を下げたのはサントリーホールディングス(前半19位→48位)、日清食品(前半95位→115位)の2社のみ。ほかはすべて順位を上げた。中でも大幅に上げたのが、キリンビバレッジ(前半146位→34位)。キリンビール(61位)よりも上位となった。コメントには、「幅広い飲料の開発を行っているのが魅力」といった声があった。ビール離れが進む学生には、キリンビバレッジのほうが魅力的に映ったようだ。

コミュニケーションのよさや社員の活気を学生は見ている

 最後に、学生コメントから見えるランクアップ企業の共通点を紹介したい。

(1)学生と直接触れ合う機会が多い。ただしあまり規模の大きいセミナーでは逆効果。できれば全国各地で実施する。
(2)セミナーでは、スムーズな司会進行で社員同士のコミュニケーションのよさや、生き生きと仕事をしている社員の姿を見せる。
(3)選考時の学生への気配りを。たとえば面接時にフィードバックをする、選考に落ちた学生にも速やかに連絡を入れる、エントリー学生全員に自社製品を送るなど。
(4)わかりやすく明確な企業メッセージを伝える。それにより、共感した学生の支持をより強く得ることができる。
(5)社員によって言うことが違うのはNG。企業理念の浸透やビジョンの一貫性を学生に示す。特にリクルーター面談では注意が必要だ。

 昨今はネットを通じ、就活関連の口コミ情報も学年をまたいで共有されている。インターンシップを皮切りに、2012年卒生向けの採用活動も始まる。学生と接触するときには、これらポイントを念頭に入れて対応してはいかがだろうか。

6年連続首位の「大企業」を「商品・サービス」が逆転

 また、本調査では、志望企業を挙げてもらう際に、選択理由を「企業価値(選択企業の属性に関してイメージする価値)」と「仕事価値(選択企業の仕事内容からイメージする価値)」に分けて聞いている。各価値とも12項目の中から当てはまるものを一つ選択してもらうため、1社につき、企業価値一つ、仕事価値一つが選ばれる。この結果から、どのような価値に重きを置いて企業を選んでいるのかが見えてくる。

 企業価値では、大きな変化があった。

 6年連続でトップだった「大企業である」が順位を落とし、「商品・サービスが優れている」がトップに躍り出た。今年の学生は企業選びの幅を広げるため、規模にこだわらずに、就職活動を行ったことがうかがえる。また昨年と比べ、企業がPRしたい価値と学生が重視する価値のズレが少ないことも特徴だ。「大企業」では相変わらず大きなギャップがあるが、ほかでは小さくなっている。イメージ先行の企業選びから、企業メッセージをきちんと受け止め、企業価値に共感しているのであれば、よい変化といえる。

上位項目の得票率が高かった企業を見ると、企業価値の「商品・サービス~」では、ワコールを筆頭に、女性に人気の高い企業が顔をそろえた。自分の好きな商品・サービスにかかわりたい、という価値観を持った学生が集まりやすい企業群といえる。「大企業である」には例年同様、メガバンク3行が名を連ねた。

「若いうちから活躍」は魅力的には映らない?

 仕事価値では昨年と同じ「人の役に立てる仕事」がトップ。経年変化で見ると、2年前に2位だった「若いうちから活躍できる」が、昨年3位、今年は4位と順位を下げた。しかし企業が最もPRしたいのはこの項目で、学生とのギャップが年々広がっている。

 代わって支持を集めたのが「経験・専門知識を身に付けられる」で、昨年5位から3位に。どこでもやっていける専門職志向の学生が増えているのかもしれない。

 仕事価値の上位項目で得票率の高かった企業を見ると、「人の役に立てる」では、東京地下鉄(東京メトロ)が2位に大きく差をつけて首位に。ここ数年、国際協力機構(JICA)のトップが続いていたが、インフラ系企業の人気に押され、順位を下げる結果となった。「自分の能力が商品・サービス・技術に生かせる」では、出版やゲームなど企画力や創造性を要する企業が多く挙がった。
(文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所:夏目孝吉、木下祐一、平野恵子/週刊東洋経済:宇都宮徹 写真と本文は関係ありません)


少し見づらいですがご勘弁を…m(_ _)m


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