2011年2月2日水曜日

就職人気企業ランキング300――2011年卒業生が“就活後半”に選んだ就職したい会社



東洋経済より

厳選採用で質重視の姿勢を貫き、慎重に選考を進めた企業。それに応戦するように、活動量を増やした学生。そうした就職環境の中での就職したい企業の変化も気になる。週刊東洋経済では文化放送キャリアパートナーズと共同で、毎年1月と6月に「就活前半」「就活後半」の就職ブランドランキングを発表している。
 
 今回の後半ランキングは、1~5月に調査を実施。この時期は会社説明会や面接など、実際に企業と学生が接触する頃で、あこがれやイメージが先行する前半とは違い、就職活動を経たうえであらためて企業を見た結果が反映される。前半・後半の変化を見ながら、順位を上げた企業の特徴なども見ていこう。

今回は、総合ランキングに加え、文系/理系、男子/女子、業種種別、企業価値(イメージ)別、仕事価値(イメージ)別に集計したランキングも掲載している。 
 


食品業界の人気上昇 明治製菓がトップに

 前半10位から1位に上り詰めたのは明治製菓。昨年のランキングも6位と好調だったが、ついにトップになった。菓子のイメージが強いが、薬品も手掛けており、事業領域の広さから、男子3位、女子1位、文系1位、理系1位とすべてのカテゴリーで強さを発揮した。背景には数年前から会社説明会を積極的に実施してきたことがある。今年は開催回数を増やし、札幌から沖縄まで全国各地で学生と直接触れ合う機会を作った。

 セミナーに参加した学生コメントからは、「社員が非常に魅力的」「社員同士の仲のよさや、楽しく仕事をしている様子が好印象」「すごくアットホームな雰囲気」など、実際に社員と触れ合ったときの印象から、高い好感度を得ている。こうした地道な企業イメージの積み上げが、今回の結果につながった。

 総合2位は、前半ランキングトップの三菱東京UFJ銀行。一つ順位を落としたが、高い人気を維持した。

 「日本一の金融グループというプライドを感じた」「大手企業だけにいろいろなタイプの社員がいたが、エリートが無理しすぎず、誇りを持って仕事をしている様子が共通していた」など、同社が醸し出す雰囲気に好意的な学生コメントが多い。また、「国内トップクラスの知名度」「強靭なブランド力」といった声もあった。

 しかし面接に対しては辛口の意見も。「面接が長すぎる」「とにかく選考期間が長い。人事面接に進むまでに毎日のように呼ばれた」など、慎重に選考を進める企業に付き合い、時間も労力も費やした学生の姿が垣間見える。

3位には集英社がランクイン。例年、後半は順位を下げる傾向のマスコミだが、前半8位から順位を上げた。大手出版社の中でも好調な業績が要因としてあるが、学生との唯一の接触機会である選考時の対応に支持が集まったようだ。

 コメントでも「学生生活の話や読んでいるマンガの話で盛り上がった」「和やかな雰囲気で面接できた」など、読者でもある学生への配慮が感じられた。

根強い金融人気 自動車低迷続く

 4位はタカラトミー。前半42位から一気に順位を上げてきた。学内セミナーなど学生と接触する機会を多くしたことが主な要因。それだけでなく、自社セミナーでは話を聞く先輩を選択できるなど、きめ細かな対応が実を結んだ。好調な業績や人気商品のCMなど、露出が多かったことも人気を後押ししている。

 5位にはオリエンタルランドが入った。昨年2位、一昨年は1位になっていたが、若干順位を落とした。とはいえ、前半21位から順位を上げており、後半に強さを発揮する特徴は変わらない。学生にとってオリエンタルランドという社名と、東京ディズニーランドが結び付くまでに時間を要するようだ。

 6位の日本放送協会(NHK)は、集英社同様、後半ランキングで順位を上げた数少ないマスコミだ。公共放送としての安定性に魅力を感じた学生も多いが、「マスコミの中ではセミナーの回数が多いのがよかった」「複数の記者と話をする機会があり、本当に自分を見てくれていると感じた」など、要望に可能なかぎり応えた姿勢を評価している。

 7位には三井住友銀行。前半3位から順位を少し落とす結果に。学生コメントにはリクルーターに対する内容が多い。「リクルーターと会う機会が多かったので、そのつど業界・企業理解を深めることができた」「面接のアドバイスをしてくれるので助かった」「就職活動全般の相談を真摯に聞いてくれた」など、おおむね好意的に受け取っている。一方、「リクルーター制度は、第1志望ならよい制度だが……」といった意見もあった。

 8位は東日本旅客鉄道(JR東日本)が前半17位から順位を上げた。男子ランキング1位、理系ランキング4位と、男子と理系に人気が高いのが特徴。17位の東海旅客鉄道(JR東海)も同様の傾向を示しており、前半47位から順位を上げた。男子と理系の順位が高いのも特徴だ。それぞれSuicaの知名度や、リニアモーターカーの将来性といった事業の魅力と合わせて、公共性の高さといった安定性に票が集まった。

 9位には前半と同順位の野村証券がランクイン。コメントには「世界で活躍できる証券会社」「社員を育てたい、成長させたいという熱い気持ちが心に響いた」「実力主義で大変そうだが、実力を付けたい人には魅力的」といった意見が目立つ。同社は、実績に応じた報酬体系が適応されるグローバル型社員を募集するなど採用方針が明確で、共感した学生が高く評価しているようだ。

 10位は前半2位のJTBグループ。恒例のグループ会社説明会「JTB summit」を、今年も東京と大阪で実施し、多くの学生が参加した。「人気の理由がわかった」「社員の話を聞くことができて参考になった」といった意見がある一方で、「グループといっても幅が広すぎる」「よくも悪くも多様性がある」「会社数が多くて、各社の詳しい情報を聞ききれなかった」といった意見も。グループ会社の中には、旅行とは関係が薄い業種もあり、学生から見ると、とらえどころのない印象になってしまったのかもしれない。

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